ENCOUNTER with MATHEMATICS

(数学との遭遇, d'apres Rencontres Mathematiques)へのご案内

1997年11月
中央大学 理工学部 数学教室

当教室では

France・Lyon の Ecole Normale Supérieure de Lyon で行われている RENCONTRES MATHEMATIQUES の形式を踏襲した 集会 "ENCOUNTER with MATHEMATICS" (数学との遭遇) を 定期的な開催を開始致しました。

France には、この2か月に一度の Rencontres Mathématiques と 皆様よくご存知の年に4回の Seminaire Bourbaki という、 二つの特徴ある研究集会が行われています。 これらの集会では、 多くの数学者が理解したいと思ってるテーマ、又は、 より多くの数学者に理解させるべきであると思われるテーマについて、 その方面の(その研究を直接行った本人とは限らない)専門家が かなり良い準備をし、大変すばらしい解説をしています。

勿論、このような集会は、France に限らず、日本や世界中で行われており、 Surveys in Geometry 等は、その好例と言えるでしょう。 そのなかで Rencontres Mathématiques は分野・テーマを限定せずに、 定期的に集会を開催しているという点で、 特徴のある集会として、評価されていると思います。

Seminaire Bourbaki は、各講演1時間、1回読み切りで、 講演内容の level は、講究録で良く分かるとおりです。

一方、Rencontres Mathématiques は、毎回テーマを一つに決め、 二日間で計5講演、そのうち3つは、柱となる連続講演で、 level は、Seminaire Bourbaki に比べ、より一般向きに、やさしくなってい ますが、 逆に、講演の準備は、大変かもしれません。

実際にENS-Lyon で Rencontres Mathématiques がどのように運営されて いるか ということについては、雑誌``数学"1992年1月号の坪井俊氏の紹介記事を 以下に抜粋させて頂きますので御覧ください。

ここENS. Lyonの特色として,
ほとんど毎月行われている ランコントル・マ テマティークがあります. これは1988年秋から行われているそうですが, 金 曜,土曜に1つのテーマの下に5つの講演を行っています. その1, 3, 5番 目の3つは同一講演者によるもので, 残りの2つは一応それをサポートするも のという形をとっています. 1つの分野のトピックを理解しようとするとき にはなかなか良い形式だと思 いました.

私が興味をもって参加したものでは ,1月には `3次元のトポロジー'

(金曜にTuraev, De la Harpe, Turaev, 土曜にBoileau, Turaev), 3月には‘複素力学系’(金曜に Douady, Kenyon, Douady, 土曜にTan Lei, Douady), 5月には‘1次 元の幾何学’(金曜にSullivan, Tsuboi, Sullivan, 土曜に Zeghib, Sullivan) がありました. これまでのテーマでは,‘天体力学’,‘複素解析’,‘ブラウン運動’, ‘数論’,‘ラムダカルキュ ラス’など数学全般にわたっています.

ほとんどの参加者は外部から来る のですが, ENS.-Lyonには建物の内部に付属のアパートがあって,40〜50人 のリヨン市 外からの参加者は そこに宿泊できるようになっています.ランコ ントル・マテマティークは自 由参加ですが, 参加する場合は,宿泊費,建物 内のレストランで食べ放題の昼食代はENS. Lyonの負担ですから, とても参 加しやすい研究集会です. ランコントル・マテマティークのテーマ,内容や 講演者を考え, 実際の運営にあたっているENS. Lyonのスタッフの努力で,

フランスの新しい重要なセミナーとして評価されていると思います.



実際、 Rencontres Mathématiques は多くの数学者に対して ゆったりとして根深い数学文化の基盤を身につけるための良い機会として 重要な役割を果しているのみならず、若い大学院生たちに数学の 深い研究への動機付けを与える大切な場面を提供しています。
ENCOUNTER with MATHEMATICS もこれらのことを 目標としたいと考えていますので、 若い大学院生や専門以外の方々の多くのご参加をお待ちしております。
このような主旨のもとに、
- 内容の高度な専門化は避ける(専門の研究者向けの内容は従来の研究集会 にまかせる)
- 特定の分野へのテーマの集中は避ける
- up to date なテーマも良いが、retro なテーマも取りあげる
といった点を特に注意して進めていきたいと考えています。
取りあげるテーマ等、この企画に関する皆様のご意見をお寄せ下さい。
これまでに行われた ENCOUNTER with MATHEMATICS ;
第1回 `岩澤理論とFERMAT予想' 1996年11月22日(金)・23日(土)、 講演者 : 加藤 和也氏(東工大・理)、百瀬 文之氏(中大・理工)、藤原 一宏 氏(名古屋大・多元数理)
第2回 `幾何学者は物理学から何を学んだか' 1997年2月21日(金)・22日 (土)、

講演者 : 深谷 賢治氏(京大・理)、古田 幹雄氏(京大・数理研)
第3回 `粘性解理論への招待' 5月16日(金)・17日(土)、講演者 : 石井 仁司 氏(都立大・理)、 儀我 美一氏(北大・理)、小池 茂昭氏(埼玉大・理)、長井 英生氏(阪大・基 礎工)
第4回目`Mordell-Weil 格子' 1997年9月26日(金)・27日(土) 、 講演者 : 塩田 徹治(立教大・理)、寺杣 友秀(東大・数理)、斎藤 毅(東大・ 数理)
今後の予定
第5回目は、`WEB幾何学' と題し 11月28日(金)・29日(土) に、 中居 功氏(北大・理)と佐藤 肇氏(名大・多元数理)よる講演を予定していま す。
その後は、第6回目 `compact化' 98年2月 佐武 一郎氏(中大・理工)他、 第7回目 `天体力学' 98年月4月 伊藤 秀一氏(東工大・理), 小野 薫氏(お茶 大・理) を予定しています。

お問い合わせ 又は ご意見等 : e-mail : encmath@math.chuo-u.ac.jp, 
又は、 112 東京都文京区春日 1-13-27 中央大学 理工学部 数学教室 tel : 03-3817-1745
e-mail : yoshi@math.chuo-u.ac.jp 三松 佳彦 宛
ご連絡下さい。
ホームページも開設しました : http://www.math.chuo-u.ac.jp/MATH/ENCwMATH