卒業研究について
- 重要な注意!
当研究室を希望する人は、このページの最後までを良く読んで下さい。
そして、配属研究室の希望アンケートに回答する前に、
タイトルを「津川研究室希望」として以下のアドレスまでメールで連絡を下さい。
また、大学院進学を考えている人はその旨をメールに書いてください。
連絡をくれた後に他の研究室に気が変わったら遠慮せずに希望を変えてくれて構いません。
あらためてメール等で連絡をくれる必要もありません。
対面で説明を希望する人は10/16〜11/13の月曜4限か火曜5限に私の部屋に来てください(2023年度)。
希望者多数で選抜する必要がある場合には対面での面接を行った学生や大学院進学予定の学生を優先する場合があります。
- 連絡先
質問がある人や上記の日程以外での対面での説明を希望する人は以下のアドレスまで連絡を下さい。
tsugawa@math.chuo-u.ac.jp
- テーマ「偏微分方程式論と関数解析」
物理や工学などの様々な現象を記述するモデルとして偏微分方程式が用いられます。
「偏微分方程式論入門」井川満(裳華房)をテキストとして、皆さんがこれまでに習得した解析学の知識がどのように偏微分方程式の研究に役立つかを学びましょう。
あるいは、関数解析とその応用に興味がある場合には「機械学習のための関数解析入門」瀬戸道生他著(内田老鶴圃)をテキストとするのも良いでしょう。
また、セミナーを通して、考える方法・発表の方法・議論の方法を学ぶというのも重要な裏のテーマです。
これらの技術を身につけることは、将来どのような進路に進んだ場合においても役立つものだと思います。
- テキスト
- 「偏微分方程式論入門」井川満(裳華房)
2018年度、2020年度〜2023年度に使用しました。
- 「機械学習のための関数解析入門」瀬戸道生他著(内田老鶴圃)
2023年度に使用しました。
- 「非線形微分方程式の大域解」松村昭孝・西原健二(日本評論社)
- 「偏微分方程式論」堤誉志雄(培風館)
やや難しめです。
- 実施方法
- 上記のテキストから相談により1冊を決めて全員で輪講します。
- 週1回2人がそれぞれ約一コマぶんの発表を行います。
ですので、誰もが月に1回以上は発表することになります。
発表中に解決しなかった問題を、次週に宿題として発表する場合もあります。
-
上記の発表日の他に、週1回学生さんだけで集まって教え合う日を設けてください。
対面でもオンラインでも構いません。
- コロナ状況について大学の判断で問題が無い限りは、出来るだけ対面で行う予定です。
- 大学院へ進学予定の学生など個別の事情により特別な対応をする場合があります。
- 参加者に求めること
- 十分に予習を行う事
卒業研究は、講義よりもはるかに重いものです。
実験系の学科では朝から晩まで研究室に閉じこもったり、正月も無しに卒業論文の作成に追われたりするものです。
集合してセミナーを行う時間は上記の通り週2コマ程度ですが、
これは、数学という学問が1人で本やノートに向かって黙々と行う部分がメインであるからです。
勉強量は、時間で量るべきものではありませんが、それなりの労力をかけて予習を行ってください。
- ルベーグ積分(実解析学1)を履修していること
自信を持ってルベーグ積分を良く理解できていると言える必要はありません。
理解が曖昧であったとしても、必要になったときに調べ直すなどして、この機会に理解を深めることが出来ればよいと思います。
しかし、これまで全くルベーグ積分を勉強していない場合には調べることすら難しくなります。このため、ルベーグ積分を履修していることを強く求めます。
- 議論に参加すること
友人の発表に疑問点がある場合には質問するなど積極的にセミナーに参加しましょう。
「自分は分かっているからいいや」で済ませてしまうのは良くありません。
議論の経験を積むこと自体がセミナーの目的の一つです。
- 発表準備のためのアドバイス(セミナー配属が決まった後に何度も読み返してください)
- 自分の理解に基づいて発表する
自分が理解出来ていないにも関わらず、本に書いてあることを読み上げるような発表をしてはいけません。
先ずは自分が理解をして、その理解した内容をセミナーメンバーに教える授業をするのがセミナー発表です。
これまで自分が受けた中で一番上手だった先生の授業を思い出して参考にしましょう。
- どこが分からないかを明確にする
これはセミナー前期における最大の目標です。「自分が分かっていない」ということに気付かなければ、それを考えて解決しようとすることも出来ません。
自分が発表を担当する範囲がだいたい定まったら、先ず初めに分からない部分をリストアップしましょう。
初めは10個も20個も分からない部分があるはずです。それを発表までの2週間くらいかけて減らしていくことになります。
- 知らない言葉は調べる
定義や定理など知らないものは必ず調べ、正確にノートに写しましょう。
間違った知識をもとに考えても時間の無駄です。面倒がらずに調べましょう。
もし、どの本を調べたら良いか分からない場合には「○○や△△を調べたのですが載っていませんでした。どの本を調べたら良いでしょうか」
と連絡を下さい。
- 発表用のノートを作る
本を見ながら板書したり発表したりするのではなく、必要な情報を全て書き写した発表用のノートを作りましょう。
板書しないつもりの内容についても「…の部分の計算をもっと詳しく説明して下さい」「○○の定理の正確な主張を教えてください」などと
質問がある場合を想定して、メモ書きをしておくと良いでしょう。「昨日はちゃんと計算出来たんですけど…調べたときは分かってたんですけど…今は答えられません」
とならないようにしましょう。
- すべての主張について「それはなぜですか?」と自問する
明確な根拠を持って説明できない部分は分かっていないのだと思いましょう。本に書いてある内容は、なんとなく正しそうに感じてしまいます。
しかし「正しそうに感じるから…」というのは説明になりません。発表の場で「それはなぜ成り立つのですか?」と聞かれたら明確に理由を説明出来なくてはなりません。
- どうしても分からなかった部分は「ここが分かりませんでした」と言う
分からない部分はよく考えて解決するに越したことはありません。しかし、いくら考えても分からなかった部分については正直に「分かりませんでした」と言ってください。
分かっているか分かっていないかが曖昧なままだと解決のためのアドバイスをすることが出来ません。
「それはなぜですか?」と私に質問された後で「分かりません」とならないようにしましょう。質問される前に「ここは分かりませんでした」と言いましょう。
- 分からない部分については、自分の能力の限界まで考える
考えても解決出来なかった部分については、私から「なぜ出来なかったのか?」「何が足りなかったのか?」「どう考えたら解決できたのか?」などのアドバイスをします。
このようなアドバイスが効果を持つのは、本人が限界まで考えた場合です。深く考えたわけでも無く、自分ですぐ解決出来る程度の問題について
「その問題を解決するためのコツはね…」というアドバイスをしても意味がありません。
- 自分では「分かっている」つもりだけど分かっていない場合がある
一つ一つのステップが確実に正しいと言えることの積み重ねになっていなければなりません。
以下は、学部1年生向けに作成した微分積分の授業前のアドバイスの動画です。
時間がある人は、是非見ておいて下さい。
- その他の参考動画
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2020年度の卒研で作成したオンラインでのセミナーのためのサンプル動画です。
テキストは「偏微分方程式論入門」井川満(裳華房)を用いています。
序盤なので、波動方程式の導出を行う物理的で感覚的な内容です。このあと数学の議論が始まります。
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大学院生向けの偏微分方程式論(非線形分散型方程式の初期値問題の適切性)の授業動画の再生リストです。
卒研生には難しめの内容で、関数解析やフーリエ変換の知識が必要となります。
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学部1年向けの1変数関数の微分積分の授業動画のイントロダクションの部分です。
微分積分(偏微分方程式)がどんな所で役に立っているかを説明しています。
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学部1年向けの多変数関数の微分積分の授業動画のイントロダクションの部分です。
偏微分方程式(熱方程式)の説明しています。
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学部4年向けの関数解析(ヒルベルト空間とフーリエ級数)入門の授業動画の再生リストです。
イントロダクションでは熱方程式の導出をしています。