研究室紹介
酒折研究室では統計科学を研究しています。統計科学は、統計学を数理的に体系づけた数理統計学と計算機科学とを結びつけた最先端の研究分野です。酒折の研究については研究業績を参照してください。以下では酒折ゼミでの活動について紹介します。
学部での研究
- 専門書の輪読と実データの統計解析を2本の柱とし、それらを通じて統計科学について深く学びます。
- 専門書の輪読
- 統計科学・数理統計学・多変量解析・機械学習などに関する専門書を輪読します。テキストはゼミ生の興味や進路にあわせ相談しながら適切なものを決定します。
- 2010年度のテキストは中村永友「多次元データ解析法 (Rで学ぶデータサイエンス 2)」です。
- 基礎理論をきちんと学ぶことで、統計手法の正しい理解を深め、正しい分析法の選択や結果の正しい解釈ができるような力を身につけます。また、線形代数・微分積分・ベクトル解析などこれまでに学習してきた数学が重要な役割を果たしていることを学び、4年間の数学科での学習の集大成とするとともに、数学を学ぶことへの動機づけを改めて行うことができます。
- 実データの解析
- 2010年度は、データ解析コンペティション、リコメンデーションコンテストへ参加しています。ゼミ生でグループを組んで、自分たちで分析の方向性を決めながら、実社会で取られている現実のデータの加工および解析を行い、成果報告会での発表そして入賞を目指して日々努力しています。2009年度は予選会での第2位を獲得しました!
- その他ゼミ合宿時等随時、スポーツデータ・マーケティング系のデータ等の分析実習を行います。
- 実データの解析を体験することで、教科書通り型にはまったデータでは味わえないような、分析のだいご味(とデータ加工の苦労)を知ることができます。また大学院進学者には、統計科学の分野においては理論的な貢献のみならず「役に立つ」研究をしなくてはならないことを痛感することでしょう。
- 大学院進学希望者(あるいは推薦による進学決定者)には、通常の学部セミナー以外に時間を取り、洋書の輪読を行っています(M0セミナーと呼んでいます)。大学院進学後に必須の英語力の向上と、しっかりとした基礎理論の確立を目指しています。
- テキストは、2008年度はHogg他「Introduction to Mathematical Statistics」、2010年度はCasella他「Statistical Inference」です。どちらも国際的に有名な名著です。
- ゼミの希望者は統計数学1・2・3を履修済みであることが望ましいですが、それ以外でもやる気のある学生は歓迎しますので研究室まで相談にきてください。
- おそらく、結構ヘビーな4年次を過ごすことになると思いますが、その分得るものも大きいでしょう!
大学院での研究
- 統計科学・数理統計学・多変量解析・機械学習などに関する洋書の輪読や、統計理論やその応用に関わる論文講読を中心に行います。読む書籍や論文は、院生本人が興味を持つ内容から適切なものを選択します。多くの文献を読み進めるうちに本人の興味に応じた修士論文のテーマを決定していきます。
- シンポジウムや学会での講演を推進しています。これまで大学院生は全員、修士1年のうちから講演を行ってきています。
- これまでの大学院生の研究内容についてはゼミ生一覧をご覧ください。
- 学部セミナー、M0セミナーにも基本的に参加してもらいます。基礎的な事項を再認識して理解を深めるとともに、「指導する」能力を育成することにも繋がります。
年間の主なスケジュール
卒研生のスケジュール例
時期 | イベント | 概要 |
---|---|---|
12月 | 新ゼミ生歓迎会 | 教員や上級生との初顔合わせです。 |
3月 | ゼミ合宿 | 卒研生や大学院生の発表を聞いたり、データ分析の実習を行う他、同期や上級生との親交を深めます。 |
4月〜7月 | 学部セミナー | 週1回2コマ程度セミナーを行います。和書の輪読です。 |
4月〜7月 | M0セミナー | 大学院に進学予定の卒研生を対象に、洋書の輪読を行います。週1回2〜3コマ程度です。 |
9月 | ゼミ合宿 | 発表を行ったり、大学院生の発表を聞いたり、データ分析実習を行います。 |
9月〜1月 | 学部セミナー | 週1回2コマのセミナー。和書の輪読の続きの他、データ解析コンペティションの進度報告をしてもらいます。データ解析コンペティションの分析は、基本的にセミナー時間外に各自で作業を進めてもらう形です。 |
9月〜1月 | M0セミナー | 洋書輪読の続きです。余裕があれば、簡単な論文(和文もしくは欧文)読みにも挑戦します。 |
11月 | データ解析コンペ中間報告 | データ解析コンペティションの中間報告会です。ここまでの進み具合を聴衆の前で発表します。 |
12月 | 新ゼミ生歓迎会 | 後輩との初顔合わせです。 |
2月 | データ解析コンペティション最終報告 | データ解析コンペティションの最終報告会です!これは「予選会」で、もし上位入賞を果たした場合には「決勝大会」(3月末開催)へコマを進めることになります。 |
3月 | ゼミ合宿 | おそらくゼミの最後のイベントです。1年間の成果を発表してもらいます。 |
その他
- 外部との交流活動を活発にしています。たとえば、韓国ソウル特別市の誠信女子大学・李聖鍵助教授のゼミと国際交流を行っています。2009年度に大学院生全員で誠信女子大学を訪問し、研究交流会などを通じて親交を深めました。2010年度は8名程度の学生さんが来日します。本活動について詳しくはここをご覧ください。
- 製薬会社の統計解析課で働く統計解析家との研究会など、様々な活動を行っています。
- 酒折は、小中高の算数・数学における統計学の授業に関する教材開発をはじめとする様々な活動を行っています。また、中学校の教科書の編集委員をしています。教員を目指す学生さんには、様々な情報提供を行ったり、議論の場を設けたりすることも可能です!遠慮せず、積極的に研究室を訪ねてください。